アレルギーの原因と住宅環境の変化

人の身体は、有害なウイルスや細菌から身体を守る免疫システムを持っています。しかし、この免疫システムが本来は身体に害がない、または影響がほとんどないと考えられている物質(例えば、ダニ、花粉、食物、化学物質などの成分)に対して、過剰に反応して現れる症状のことをアレルギーといいます。

また、アレルギー症状の原因となる物質のことをアレルゲン(抗原)といいます。このアレルゲンには、「吸入性」、「食物性」、「接触性」の3つがあります。どのアレルゲンによって、どのような症状が現れるかは人によって大きく異なります。またアレルギーがなぜ特定の人に強く起こるのかなど、アレルギーについては、まだ十分には解明されていないことが多くあります。

  • 「吸入性アレルゲン」 : ほこり、ダニ、花粉、ペットの毛やフケなど及び有害性化学物質、大気汚染物質など
  • 「食物性アレルゲン」 : 卵、牛乳、大豆、ソバ、米、小麦、畜肉、魚肉、防腐剤、着色剤、薬品類など
  • 「接触性アレルゲン」 : うるし、装身具の金属、化粧品など 



住宅環境の変化とアレルギー増加の因果関係

近年の住宅は、サッシや玄関ドア、窓など建設機材の性能や施工技術の向上、省エネルギーへの取り組みによる断熱性能の向上により、住宅の高気密性・高断熱性が進んでいます。しかし、住宅の気密性を上げていった結果として、これまで住宅のあちこちにあった隙間が少なくなり、自然に行われていた住宅の換気量が不足しがちなりました。

換気不足になると、室内では高湿度による結露の発生や、それにともなうカビやダニの発生、空気汚染物質(二酸化炭素やホルムアルデヒドなど)の停滞や高濃度化といった問題が発生するようになり、シックハウス症候群やアレルギー疾患が増大する原因になりました。

このような住環境の中、室内を快適に保つためには室内の空気を常に衛生的に保つことが重要です。

人が最も摂取するのは、空気であり、83%が空気であると言われています。人が摂取し、人が生きるうえで、最も大切な空気を清浄に保つことが、健康の原点と考えます。





アレルギーの主な原因


ハウスダスト

ハウスダストとは、アレルギーを引き起こすいくつかのアレルゲンが混ざった室内のちりやほこりのことをいい、ペットなどの動物や人間のフケ(皮屑)、カビやダニ、またカビ(細菌類)などが混ざったものを総称してハウスダストといいます。ハウスダストアレルギーと言った場合、その多くがチリダニの仲間の虫体やフンなどが粉塵となり空気中に散乱したものに対するアレルギーであることが多いため、ダニアレルギーとほぼ同じと言えます。ハウスダストアレルギーの主な原因は高湿度によって繁殖したダニやカビによるものです。住宅空間の湿度を一定に保つことで、アレルギーの原因となるダニやカビの繁殖を抑えることができればハウスダストアレルギーの主な原因となるアレルゲンを取り除くことができると考えられます。

また、近年、ペット同居世帯が増加し、ペットの毛、フケなどもハウスダストアレルギーの原因となると言われています。


VOC(揮発性有機化合物)

光化学大気汚染をもたらす主要な原因物質である浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成に関与している物質です。

2002年厚生労働省によって、ホルムアルデヒドを含む計14種類の化学物質がVOCに指定されており、その中でも特定測定物質としてホルムアルデヒト、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの5種類が「シックハウス症候群」の原因として指定されています。


花 粉

花粉の飛散期にくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどはアレルギー性鼻炎(鼻アレルギー)の症状の原因となります。現在の日本では花粉症の原因となる花粉はスギ花粉であることが大多数であり、一般的に「花粉症」といった場合、「スギ花粉症」であることがほとんどです。またスギ花粉以外にも、ヒノキ科、ブタクサ、マツ、イネ科、ヨモギなどの花粉が花粉アレルギーの原因となることもあります。

単に、花粉の影響ばかりではなく、花粉にNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)などの公害物質が付着し、体内に取り込まれることも、人への影響は大きな問題であると考えます。NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)は、雨水にとけ、酸性雨となり、人より長く生きる木々を立ち枯れさせたりしています。日本では、石油コンビナートの排気ガスが流れるところは、土壌が酸性化し、多くの木々が枯れてしまっております。

また、自動車からの排気ガスも大きな問題になっており、近年、排ガス規制が進められ、かなり改善が進められております。このような有害ガスと花粉との複合要因も、重要な問題であると考えております。現代人は、人より本来寿命が長い木々が立ち枯れをするような空気を取り入れていますから、この問題も今後の重要な研究課題と思います。


黄砂

中国大陸からの黄砂は、中国の乾燥化、砂漠化の進行により、近年、日本に黄砂が舞い降りてくる量、日が、非常に増加しています。

中国は、急激に、工業化が進んでいますが、それに伴う大気への有害物質の拡散も、大量に進んでおり、その大気拡散有害物質が黄砂に付着し日本に舞い降りてくる為、今後、黄砂が、日本での大きなアレルゲンとなる時代が来ていると思います。黄砂症が急増する日も近いのではと心配しております。

近年、アルカリイオン水、空気清浄機など、昔には考えられないような製品がヒット商品となっておりますが、これからの健康を確保する上では、人が最も多く取り入れる空気の質的な問題「空気質」が、重要視される時代となると思います。




児童の全国的な実態調査

以下の記述は、財団法人日本アレルギー協会、アレルギー疾患に関する調査研究報告書(アレルギー疾患に関する調査委員会:平成19年3月)などの資料を参考にして記載しております。詳細は、インターネットで検索してご覧願います。

文部科学省では、平成16年10月から、有識者からなる「アレルギー疾患に関する調査研究委員会」(以下、「本委員会」という。)において、児童生徒におけるアレルギー疾患についての総合的な調査のため、平成16 年から平成17 年にかけて全国的な実態調査を実施されました。 アレルギー疾患には、気管支喘息(以下「ぜん息」という。)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎、食物アレルギー、アナフィラキシーなど多様な疾患が含まれる。

1. 調査対象

  • 全国の公立の小学校・中学校・高等学校・中等教育学校
  • 対象学校総数:36,830 校

    ※平成16 年5 月1 日現在、本校のみとし、高等学校においては定時制及び通信制は除く。うち、有効回答が得られた学校数 36,061校(有効回答率97.9%)。有効回答が得られた学校に在籍する児童生徒数:12,773,554 人(平成16年5月1日現在)

2. 調査事項

児童生徒のアレルギー疾患の実態

  • 調査対象疾患 ぜん息
  • アトピー性皮膚炎
  • アレルギー性鼻炎
  • アレルギー性結膜炎
  • 食物アレルギー
  • アナフィラキシーショック

    アナフィラキシーショックとは、摂取した食物等に対するアレルギー反応が2臓器以上(例:発疹→皮膚 呼吸困難→気管支など)に出現したアナフィラキシー状態のうち、さらに血圧の低下や意識の消失にまで至った状態をいう。

3. 調査結果概要

児童・生徒のアレルギー疾患別有病率(%)一覧表

アレルギー項目 小学生 中学生 高校生 全体
男子 女子 全体 男子 女子 全体 男子 女子 全体 男子 女子 全体
喘息 8.2 5.3 6.8 6.0 4.1 5.1 4.1 3.1 3.6 6.8 4.6 5.7
アトピー性皮膚炎 6.5 6.0 6.3 4.9 5.0 4.9 3.8 4.1 4.0 5.6 5.4 5.5
アレルギー性鼻炎 10.6 6.9 8.8 11.7 8.7 10.2 10.1 8.1 9.1 10.8 7.6 9.2
アレルギー性結膜炎 3.8 3.2 3.5 4.1 3.6 3.8 3.1 3.6 3.8 3.7 3.2 3.5
食物アレルギー 3.0 2.6 2.8 2.6 2.6 2.6 1.9 2.0 1.9 2.7 2.5 2.6
アナフェラシー 0.18 0.12 0.15 0.17 0.13 0.15 0.12 0.1 0.11 0.17 0.12 0.14
合計 32.3 24.12 28.35 29.5 24.13 26.75 23.12 17.9 22.51 29.77 23.42 26.6

上表のようにアレルギー疾患症状の有病率は、4人に一人が発症しているなど非常に多くの児童・子供が、苦しんでいることに驚かされました。




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