アレルギー症状を学ぶ1 : 「アトピー性皮膚炎」
アトピー性皮膚炎の大きな特徴は、「強いかゆみ」と「治りにくい湿疹」です。かゆいから皮膚をかくと、これがまた皮膚の炎症を悪化させて、さらにかゆみが強くなる、という悪循環をしばしば繰り返します。
一般的に子供に多く、年齢によって少しずつ症状に違いがあります。「乳児期」では赤くガサガサした湿疹が顔を中心に、首やヒジなどにもあらわれますが、脂漏性湿疹やオムツかぶれと区別が難しいこともあります。
「幼児期」のアトピー性皮膚炎は、手足に湿疹がたくさんでてくることが多く、カサカサした鳥肌のような白い点々とした盛り上がりがみられます。一方で顔にはあまり症状は現れません。
「学童期・思春期」ではヒジやひざ、首などの関節に慢性化した湿疹が目立ってきますが、成長するにしたがって、症状は次第によくなってきます。
この病気の原因については、まだはっきりしたことがわかっていませんが、ハウスダストやダニなどのアレルゲンに過敏に反応するアレルギー体質が主な原因であると言われていました。しかし、最近の研究では、必ずしもそれだけが原因ではなく、皮膚のバリア機能の低下が大きく関係していることがわかってきました。
つまり、アトピー性皮膚炎の人は、生まれつき皮膚を守るバリア機能が低く、ここにアレルゲンなどが加わって症状が引き起こされるというわけです。
アトピー性皮膚炎が増加した要因
皮膚は上から「表皮組織」、「真皮組織」、「皮下組織」というつくりになっています。表皮の一番上の最上層には肌を守るのに重要な役割をする「角質」という組織があります。
角質の中は平らな細胞が層になって重なっています。この細胞同士のすき間に、セラミド(細胞間脂質)という脂が埋まって、細胞と細胞をしっかりくっつけ、肌を保護しています。これにより皮膚の「バリア機能」が保たれています。
ところが、アトピー性皮膚炎患者では、生まれつき、このセラミドが十分でないことが多く、このため、細胞と細胞の間にすき間ができやすく、皮膚がガサガサになって穴が空いたような状態になります。このため、水分が逃げやすくなり皮膚が乾燥し、外から異物が入りやすい状態となり、アレルギーを引き起こす原因となるストレスやダニ、ハウスダストなどのアレルゲンが入り込んでアトピー性皮膚炎が発症するというわけです。
アトピー性皮膚炎が増加した要因
皮膚科受診の中でも、アトピー性皮膚炎と診断される人の割合は年々増加しています。なぜ現在、このようなことが起こっているのでしょう。
アトピー性皮膚炎を引き起こす最も大きな要因は遺伝であると考えられますが、この遺伝子を持つ人が短期間で急激に増加しているということは考えられません。つまり、病院で受診するようなまで重症となるケースが増えていることがその理由と推測されます。
アトピー性皮膚炎が重症となる遺伝子以外の要因は、「ストレスの増加」や、「ダニが発生しやすい住宅環境」、「食生活の変化」などが考えられます。
アトピー性皮膚炎を調査したある研究データでは、都市部の人の方が町村部よりもアトピー性皮膚炎を患っている人の割合が高いというデータや、先進国の人々の方が発展途上国の人々よりも多くの割合でアトピー性皮膚炎が発症しているという報告もあり、都市型のライフスタイルがアトピー性皮膚炎の要因のひとつであると唱える研究者もいます。

成人のアトピー性皮膚炎が増えている
通常アトピー性皮膚炎は、成長とともに良くなっていきます。これは、成長とともに皮膚が強くなって、外からの刺激に対しても抵抗を持つようになるからです。しかし、思春期になってもなかなかよくならず、症状がそのまま続くことがあります。また、それまでは何の症状もなかった人が20歳をすぎてから発症する(成人型アトピー性皮膚炎)ケースが最近、増えています。
その原因は、学校や会社でのストレスなど、社会的環境が影響しているのではないかといわれています。実際に会社に入った直後や、転勤など、環境が変化したことがきっかけとなって症状が現れたという人が多くみられます。また、食生活の欧米化や、加工食品を摂取する機会が増えたことが関係しているという意見もありますが、詳しい原因は明らかになっていません。成人型アトピー性皮膚炎の症状は、子供の場合と違って、額や目、口の周囲、首に症状が出やすく、重症化することが多くあります。
ハウスダスト、ダニがアレルギー症状の原因のひとつ?
アトピー性皮膚炎のアレルゲンのひとつとして「ダニ」があります。しかし、ダニは部屋中のどこにでも存在しており、ダニに対する抗体が陽性であっても、ダニそのものが必ずしもアトピー性皮膚炎の原因とは限らないので、必要以上に神経質になることはありません。
とはいえ、ダニや、ホコリやカビなどのハウスダストは、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因となるので、できるだけ取り除き、清潔な空気を保つことが必要です。
ダニを防ぐさまざまなグッズが販売されていますが、ダニを殺したり近づけないようにするための薬剤などは、かえって体に悪影響を及ぼすこともあるので、そのような薬剤を購入するときには、中身や効能に注意することが大切です。
アトピー性皮膚炎は気管支喘息やアレルギー性鼻炎とも深い関係が?
アトピー性皮膚炎の人は、「気管支ぜんそく」や「アレルギー性鼻炎」、「アレルギー性結膜炎」を一緒に発症していることがあります。これらの病気は、どれも血液中でアレルギー抗体が増加しているという共通点があることから、同じグループの病気として、「アトピー性疾患」と呼ばれることがあります。
「気管支ぜんそく」は、ダニやカビなどのアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を吸い込むことによって呼吸器に発作的にアレルギー反応を起こす病気です。気管支が収縮したり、粘膜が腫れて気管が狭くなり、呼吸が苦しくなる、咳き込むなどの症状が起こります。
「アレルギー性鼻炎」も、気管支ぜんそくと同じく、アレルギーの原因となるダニやカビなどのアレルゲンを吸い込み、それが鼻の粘膜に付着することにより起こります。アレルギー性鼻炎では、くしゃみと鼻水が特徴です。「アレルギー性結膜炎」は、アレルゲンが目に付くため、目が充血してかゆくなります。
いずれの症状にも、その原因としてアレルギーの原因となるアレルゲンのダニやカビなどのハウスダストが関わっていて、これらのアレルゲンを抑えることがアトピー性疾患を改善する最も効果的な方法ということがいえます。
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